絶対に食べたい。それも自分で作りたい。

 ここのところ、頭から離れない食べ物が「海苔(のり)弁」だ。数カ月前に読んだ向田邦子さん(1929~81年)の最後のエッセイ集『夜中の薔薇(ばら)』収録の「食らわんか」に登場する。

 うまいもの好きで、食のエッセイに定評のある向田さん。気取った食べ物が嫌いで、海外から帰宅して最初に作る料理は海苔弁だった。

 漆塗りの弁当箱に3分の1ほど平らにごはんをつめた上に、...