【益田】益田市に伝承が残る万葉歌人・柿本人麻呂(人麿)の没後1300年祭記念「万葉の里ひとまろフェスタ」がこのほど、同市高津町の高津柿本神社などであり、来場者が人麻呂にちなんだ創作神楽と狂言の共演を楽しんだ。
人麻呂は益田で「ひとまるさん」として親しまれ、和歌の上達だけでなく「火止まる」から防火の神としても信仰を集める。
地元の高津神楽社中が約80人を前に創作演目「人麿火消(びけし)」を披露。人麻呂が津和野藩3代藩主亀井茲親(これちか)とともに火の化身の邪神を退治する筋立て。狂言師の河田全休さん(43)と由谷鈍行さん(37)が劇中、町民役として登場し、軽妙な掛け合いで観客を沸かせた。
益田市駅前町から訪れた矢富實(まこと)さん(82)は「防火の神という面から人麻呂を取り上げていて面白かった。人麻呂信仰が広がればよい」と話した。
地元有志でつくる「柿本人麿没後1300年祭推進委員会」が主催。狂言と伝統芸能・石見神楽の共演で人麻呂を顕彰しようと企画した。
神社近くの高津公民館、高津川沿いのやぶさめ公園では出店や地元演歌歌手のステージ、官民協働の親水プロジェクトがあり、来場者でにぎわった。(中山竜一)