益田市がまちづくりの一環で取り組む東京五輪・アイルランド自転車選手団の事前合宿受け入れを断念した。市内で新型コロナウイルス感染が急きょ拡大しただけに、市民からはやむを得ないとの声が上がった。
合宿練習コースの県道沿いにある中西公民館(同市白上町)の豊田忠作館長(70)は「楽しみにしているという声を聞いていたので残念。だが、感染者が増えている中では厳しかった」と話した。
市内では、5月15日にあった五輪聖火リレーの中止を県に申し入れた経緯があり、益田商工会議所の松永和平会頭(66)も「もう少し早く中止になっても良かった」とした。
一方、市はアイルランドのホストタウンに登録する前から「自転車のまち」として売り出してきた。努力が無駄になるのではとの懸念を抱く市民もいる。
1級建築士の伊藤義照さん(90)=益田市あけぼの本町=は「世界に発信するチャンスとして公費を投入してきた。(観客を入れるかどうかの)国の五輪開催方針が定まっていない中で、中止を打ち出すのは時期尚早だったのでは」と指摘した。
市の合宿誘致に協力したNPO法人「益田市・町おこしの会」の斎藤勝広理事長(52)は「これからもトップアスリートを呼ぶなど、子どもたちに夢を与えられる活動をしなければならない」と、経験を今後に生かすべきと強調した。(石倉俊直、中山竜一)