4日のオープンに向け準備を進めるスタッフ=鳥取市吉岡温泉町、旧・福寿苑
4日のオープンに向け準備を進めるスタッフ=鳥取市吉岡温泉町、旧・福寿苑

 鳥取市吉岡温泉町の温泉街に4日、10年以上前に廃業した旧旅館施設を生かしたお化け屋敷がオープンする。地元民有志で設立した合同会社が、ホラーを新たな切り口に地域活性化を図る。猛暑が続く中、背筋が凍るような〝涼〟や〝冷や汗〟を求める温泉客や観光客の呼び込みに期待する。

 合同会社TUGIHAGI(ツギハギ)が企画した事業。かつて温泉街の中心部で営業し現在、廃虚のようになっている旧旅館「福寿苑」の建物を活用した。

 旧旅館は3階建てで、もともと白かった外観は経年劣化で、すすけて灰色になり雨だれの跡も残る。傷んだ「福寿園」の看板も掛けられている。内部は大浴場やトイレ、客間などがあり、こたつや破れた障子など旅館らしい現実感も恐怖を演出する。

 お化け屋敷の来場者は警備員役となり各階を巡回する設定。幕が張られた暗闇の中、懐中電灯の明かりを頼りに歩くと、壁をたたくような「ドンドン」という異音がしたり、幽霊役が突然、現れたりする。

 謎解きの要素も設けた。時折示されるヒントを手がかりに幽霊の弱点を解き明かし、撃退しながらゴールを目指す。

 ゴールすると、近くの温泉施設の入浴料が割り引きされる。お化け屋敷とともに地元の協賛店を利用すると相互に特典を設け、温泉街の回遊性を高める。

 吉岡温泉町では現在、10の温泉旅館が営業し、多くの旅館で後継者不足が深刻化する。お化け屋敷を始めるツギハギ代表で、温泉街の日帰り入浴施設・一ノ湯の松浦聡子館長(44)は「多くの人に楽しんでもらい、温泉街を『継いで』いけるような地域にしたい」と意気込む。

 お化け屋敷は4日~9月30日までの毎週金、土、日曜日と祝日に営業。時間は午後4時~同10時。小学生以上が対象で料金は一律2千円(小学生は保護者の同伴が必要)。問い合わせはツギハギ、電話080(8035)9358。

 事業は観光地域づくり法人(DMO)麒麟(きりん)のまち観光局が監修、観光庁の観光コンテンツ造成支援事業に採択され補助を受けた。(吉金亮太)