悔しい経験や失敗が成長につながると語る森保一監督=浜田市黒川町、石央文化ホール
悔しい経験や失敗が成長につながると語る森保一監督=浜田市黒川町、石央文化ホール

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で強豪ドイツ、スペインを撃破し日本代表を16強に導いた森保一監督(54)が4日夜、浜田市黒川町の石央文化ホールで講演した。ドイツを相手に2-1で逆転勝ちを収めた一戦を振り返りながら、過去の悔しい経験や失敗を成長に生かす大切さを伝えた。

 W杯カタール大会の初戦で当たったドイツとの一戦は、前半を0-1で終え、「1対1の局面を制さないと世界相手に勝てない」と意を決し、後半から選手個々の力が生かせる配置に組み立てたと説明した。

 逆転ゴールを決めた浅野拓磨選手が、代表選手の負傷交代に備えた臨時メンバーだった前回ロシア大会で「出られないと分かっても出番を待つかのようにグラウンドを見つめる姿が忘れられなかった」と、コーチとして同行した当時を回顧。「カタール大会への思いは人一倍強く、チャンスをものにした」とたたえた。

 選手として日本代表にもなった自らのサッカー人生も失敗を多く経験したと振り返り、質疑で試合に負けた時の気持ちの切り替え方を問われると「成功する自分だけが全てじゃない。たくさんの失敗が成長につながる。ポジティブに変換することが大事だ」と強調。サッカーに取り組む子どもたちに向けて「自分のベストを尽くしつつ、プレーを楽しむことも忘れないで」と呼びかけた。

 試合で点を取られると悩みがちだったという浜田第一中学校サッカー部の荒木宮音さん(15)=3年=は「話を聞いて勉強になった」と話した。

 講演は浜田青年会議所創立65周年記念事業で、約900人が聞き入った。(宮廻裕樹)