ドラマ「VIVANT」島根ロケに迫る(3)
 俳優の堺雅人さんが主演を務めて話題を呼ぶTBS系日曜劇場『VIVANT』(毎週日曜・午後9時)。ロケ地となった島根県奥出雲町は、ドラマの監督を務めた福澤克雄監督と約20年間の交流が続く。今回は地元住民が、総勢100人規模のキャストやスタッフに手料理でもてなした。実際に振る舞われた「ロケ飯」について紹介していく。(Sデジ編集部・鹿島波子)


「VIVANT」島根ロケに迫る(1)
ドラマ「VIVANT」主人公・乃木のルーツに迫る島根ロケ インタビューでも話題 櫻井家住宅がカギ(Sデジオリジナル記事)

「VIVANT」島根ロケに迫る(2)
ドラマ「VIVANT」乃木家と奥出雲町の櫻井家 つながりと島根ロケの裏側(Sデジオリジナル記事)

【写真特集】
ドラマ「VIVANT」島根ロケの裏側 櫻井家住宅とロケ当日のオフショット(奥出雲町編)

 

▽町を挙げて振る舞った「ロケ飯」


 県内で撮影が行われたのは4月上旬。島根ロケ4日間のうち3日間かけて撮影された奥出雲町の櫻井家住宅では、地元の商工会女性部や居酒屋店主らが100人分の料理を準備した。福澤監督から直接オーダーを受けて手配したのが、町中央公民館長の郷原喜美子さん(71)。奥出雲町地域振興課に務めていた際に福澤監督と出会い、10年以上、季節ごとにお餅やしいたけを送っている。「おいしいものを食べさせてあげたい」と腕を振るった。

キャストやスタッフに振る舞われた、たくさんの地元料理のおしながき=4月、島根県奥出雲町上阿井(提供)

 メインはジビエ料理で、地元猟師が仕留めたイノシシを使った猪(シシ)肉を利用。焼き肉や猪肉ハンバーグ、猪汁(シシじる)を振る舞った。出来たてを食べてもらおうとホットプレート3台を用意し、福澤監督が好きなハンバーグには目玉焼きをのせた。

 奥出雲町のブランド米「仁多米(にたまい)」で作ったおにぎりは200個用意。春に芽吹いた新鮮な山菜に、エビ、白身魚を加えた8種の天ぷらも用意した。地元の手作り惣菜店「奥出雲屋」(奥出雲町下横田)を営む和泉恵さん特製のおかずも多数取りそろえた。

食べきれないほど並ぶ、地元食材で作ったおかずの数々=4月、島根県奥出雲町上阿井(提供)

【関連】ドラマ「VIVANT」ロケ地住民がパブリックビューイング 松江市玉湯町で初のロケ(Sデジオリジナル記事)

 準備が整うと、福澤監督がスタッフに向け「早くご飯食べて!郷原さんに叱られるよ!」と郷原さんの名前を挙げて呼びかける一幕も。インタビューで、阿部寛さんは「町の方が提供してくださる食事の種類があまりにも多くて(笑)。食べきれないくらいの量を毎日食べている」と絶賛していた。さらに「町の力が僕に乗り移って、撮影が進行していくのだなと(思った)」と感慨深く語り、食事を通した交流が「何よりもうれしいことだった」と振り返っていた。主人公の叔父役の井上順さんも...