米航空宇宙局(NASA)と米スペースXが打ち上げ、日本の古川聡飛行士(59)=神奈川県出身=ら4人が乗った宇宙船クルードラゴン7号機は8月27日、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。日本の実験棟「きぼう」などで構成するISSは、条件が揃えば地上からも裸眼でよく見える。通過時間も「きぼう予報」としてWeb上で発表されており、今月も確認できそうだ。山陰両県での見ごろや楽しみ方を「松江星の会」の安部裕史会長(65)に聞いた。(Sデジ編集部・鹿島波子)

 

▽「ISS」とは


 国際宇宙ステーション(ISS)は、日本、米国、ロシア、欧州、カナダなど15カ国が共同建設した、人類史上最大の宇宙の有人実験施設。1998年に宇宙での建設が始まり、2011年7月に完成した。地上から約400km上空で運用され、大きさは約108.5m×72.8mとサッカー場ほどあり、質量は約420トン。地球を1周約90分というものすごい速さで回っており、中では地上の100万分の1ほどの重力し かないという。

 「きぼう」はISSの一部として日本が建設した実験施設。微少重力などの宇宙の特殊な環境を利用し、企業や大学、研究機関が世界最先端の研究を行っている。現在は各国から11人の宇宙飛行士が滞在し、日々活動している。古川さんは唯一の日本人で、2011年に165日間の長期滞在を経験。今回は12年ぶり2回目の宇宙飛行になる。古川さんは2002年9月に松江市内でトークショーを行ったこともあり、安部さんも同じイベントで登壇し、自分が見つけた小惑星の一つの名前「しじみ」を、古川さん含む来場者全員と一緒に決めた思い出があるという。

松江市内であったトークショーで、質問に答える古川聡宇宙飛行士=2002年9月、松江市学園南1丁目

 

▽地上からISSが見える理由


 地上から見るためには、幾つか条件がある。
①空が晴れているとき
②上空付近を通過するとき
③地上が夜だが、上空のISSには太陽の光が届く時間帯

 ISSは同じ軌道を回っているが、地球が自転しているために、通過する位置が日々変化していく。90分かけて1周する間に、地球は22.5度回転しているため、地上から見るとISSはどんどん西にずれていくように見える。JAXAが支援するKIBO宇宙放送局の運営サイト「#きぼうを見よう」の「きぼう予報」では、ISSの軌道と地球の自転を計算し、通過するタイミングを予測している。

 また、ISS自体が発光しているわけではないため、月や金星などと同じように太陽の光を反射することで輝く。具体的には、地上の日の出前や日の入り後の約2時間は、地上は夜だが400km上空はまだ昼のため、この時間帯に限りISSを観測することができる。安部さんは「通るときは、最も明るい星よりも明るく見え、数分かけて予報通り通過するのが見える」と説明する。

松江城の下の位置から見え始め、夏の大三角形に向けて通過するISSの軌道。明るいので見上げれば目視できる=2022年12月7日午後6時14分ごろ、松江市殿町(松江星の会提供)

 

▽山陰ではいつ見える?


 では実際、島根、鳥取両県の上空ではいつごろ見えるのか?サイト「#きぼうを見よう」によると、...