8月22日午後9時ごろの山陰での空=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成
8月22日午後9時ごろの山陰での空=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成

 今年の七夕(たなばた)は山陰(さんいん)地方では天気が悪く、星が見られませんでした。でも、もうすぐまた七夕の日がやってきます。それは伝統的(でんとうてき)七夕と呼(よ)ばれています。

 七夕の7月7日は、今はたいてい梅雨(つゆ)のさなかなのですが、江戸(えど)時代までの旧暦(きゅうれき)と呼ばれるカレンダーでは7月7日は梅雨明けのかなり後でした。そこで、旧暦の七夕の日こそ星を見るのにふさわしいということで、日本の天文学の中心的な機関である国立天文台では2001年から、その日を伝統的七夕と呼び、年ごとの日付を公表しています。今年は8月22日です。(*1追記)

 この日の午後8時過(す)ぎ、空を見上げると、高いところにベガ、アルタイル、デネブという明るい星が、「夏の大三角(だいさんかく)」を作っています。三つの中でも最も明るいベガが「織(お)り姫星(ひめぼし)」、細長い三角形のとがった先にあるアルタイルが「彦星(ひこぼし)」にあたります。

 街明かりがなければ二つの星の間に天(あま)の川(がわ)が見えるでしょう。そこから、南の地平線に向かって天の川が流れています。その少し西側には、月も見えています。

 旧暦は月の形と結びついていて、7日は必ず半月(はんげつ)に少し足りない月が出ます。昔の人は七夕の月を、天の川を渡(わた)る舟(ふね)に見立てたそうです。

 山陰では月は9時半を回ると沈(しず)み、天の川がよりはっきりしますので、できれば少し夜ふかしして見てください。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))
 =隔週掲載(かくしゅうけいさい)=

【追記】*1・・・2024年の伝統的七夕の日は8月10日です