彗星(すいせい)は、氷やちりでできた小さな天体で、遠くから太陽に引き寄(よ)せられてやってきます。太陽に近づくとぼんやり光り、ときには尾(お)を引くことがあるので「ほうき星」とも呼(よ)ばれます。明るい彗星はそう多くはありませんが、今年は見やすくなりそうな彗星が二つもやってきます。
一つはポン・ブルックス彗星です。3月後半から4月前半、山陰(さんいん)地方だと午後7時半ごろ、西の空に見えます。肉眼(にくがん)ではなんとか分かる程度(ていど)の明るさなので、図を手がかりに双眼鏡(そうがんきょう)を使って探(さが)すのがおすすめです。
特に、おひつじ座(ざ)のハマルという星と並(なら)ぶ3月31日、細い月に近づく4月10日は探しやすいでしょう。さらに4月13日ごろにはひときわ明るい木星が目印になります。また、目でよく見えない場合でも、近ごろのカメラやスマホなら、西空に向けるだけで彗星が写るかもしれません。
そして、もう一つは10月ごろに見ごろとなる紫金山(ツチンシャン)・アトラス彗星です。10月1日前後の午前5時15分ごろ、東の空低くと、続いて10月半ば以降(いこう)の午後6時半ごろ、西の空に、肉眼で十分に分かる明るさで見られると予想されています。予想どおりの明るさを期待しましょう。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(たけうちみきまさ))
=隔週掲載(かくしゅうけいさい)=