山陰(いん)地方の夜空は暗く、人口が多い地域(ちいき)に比(くら)べれば、たくさんの星が見えます。もし、みなさんの中に、そんなに見事な星空を見たことがないという人がいたとしたら、それは、星を見るこつをつかめていないだけかもしれません。
星を多く見るためには、いくつか必要な条件(じょうけん)があります。まずは、日暮(ひぐ)れ後の薄明(うすあ)かりがすっかりなくなっていること、そして、明るい月が出ていないことです。今の山陰なら午後7時40分を過(す)ぎてからは空が暗く、また、3月12日ごろまでは月明かりの影響(えいきょう)もありません。
さらに、できるだけ街明かりを避(さ)けること。その上で、目を暗さに慣(な)らす必要があります。完全に慣らすには30分以上かかりますが、それほど待てない場合でも、せめて15分は星空を見続けてください。すると驚(おどろ)くほど星が見えるようになります。
東を向くと、ひしゃくの形をした北斗七星(ほくとしちせい)の上に、やまねこ座(ざ)という星座があります。目立たない星座なので、探(さが)すには「ヤマネコのような鋭(するど)い視力(しりょく)がいる」といわれていますが、目を慣らしたみなさんにはそんな星座の暗い星でさえ見えることでしょう。
だだし、せっかく暗やみに慣れても、明るいところに行くと、一瞬(いっしゅん)で元の目に戻(もど)ってしまいますので、その点は注意してください。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(たけうちみきまさ))
=隔週掲載(かくしゅうけいさい)=