砂時計(どけい)の形のオリオン座(ざ)と、「すばる」とも呼(よ)ばれる星の集まりプレアデス星団(せいだん)。冬の夜空でよく目立つこれら二つのちょうど真ん中にある明るい星がアルデバランです。
オレンジ色をしたアルデバランは、星座でいえば、おうし座の目にあたります。その近くにはV字形に並(なら)んだ星を中心にたくさんの星が見られます。ヒアデスと呼ばれる星団で、これが牛の顔を表しています。
ただし、アルデバランはヒアデス星団には含(ふく)まれません。アルデバランの方がヒアデスより地球に近く、たまたま同じところに見えているだけなのですが、それにしても、星団をバックに輝(かがや)くアルデバランは、オリオン座やプレアデス星団に負けず見ごたえがあります。双眼鏡(そうがんきょう)があれば、眺(なが)めをさらに楽しめるでしょう。
もし、アルデバランに近づいたら、直径が太陽の40倍もある巨大(きょだい)な星だと分かります。しかし、重さは太陽と同じか2倍程度(ていど)にすぎません。これは、寿命(じゅみょう)の終わりに差しかかった星が大きくふくらんだものなのです。そのことで温度が下がり色も赤みがかかっています。
星の中でも特に重い一部の星は最期(さいご)に大爆発(だいばくはつ)しますが、アルデバランはそうはならず、ふくらみ続けて将来(しょうらい)は中心部を残し静かに散らばっていきます。アルデバランは太陽のようによくある星の行く末の姿(すがた)なのです。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(たけうちみきまさ))
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