木星とくじら座(ざ)=10月24日、出雲市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)
木星とくじら座(ざ)=10月24日、出雲市芦渡(あしわた)町で撮影(さつえい)

 くじら座(ざ)は秋の代表的な星座の一つですが、明るい星が少なくあまり目を引きません。しかし、今年は木星が近くに見えているため、探(さが)しやすくなっています。飛び抜(ぬ)けて明るい木星は、今の時期、空がすっかり暗くなったころなら、東の空に出ています。

 木星の下にクジラの頭にあたる星の並(なら)びがあります。そこからずっと右の方には、ディフダというぽつんと目立つ星が光っています。ディフダの別名はデネブカイトスといい、「クジラのしっぽ」を意味します。あとは写真に引いた線も参考にしながら、胴体(どうたい)をつないでみてください。たいへん大きな星座ができあがります。

 それにしても、この形はとてもクジラに見えませんね。実は私(わたし)たちのよく知っている動物のクジラではなく、ギリシャ神話に登場する怪獣(かいじゅう)クジラとされています。この怪獣は、いけにえとして捧(ささ)げられた美しいお姫様(ひめさま)に襲(おそ)いかかろうとしましたが、現(あらわ)れた勇者に倒(たお)されました。

 日本でいえば、クシナダヒメを救(すく)うためにスサノオに退治(たいじ)されたヤマタノオロチのようでもあり、そんな悪役の恐(おそ)ろしい怪獣だからこそ、星座が大きいのも当然という気がします。

 手がかりとなる木星は、だんだんとくじら座から離(はな)れたところに移(うつ)りますので、この秋から冬のうちに探してみましょう。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(たけうちみきまさ))

  =隔週掲載(かくしゅうけいさい)=