木星とその近くに見えた天体=12月7日、三瓶自然館サヒメルで撮影(さつえい)
木星とその近くに見えた天体=12月7日、三瓶自然館サヒメルで撮影(さつえい)

 夜空の月や星たちは遠くにあるものですが、見ているだけではどれぐらい離(はな)れているのか分かりません。実際(じっさい)には、地球からの距離(きょり)はそれぞれまったく違(ちが)います。

 月は最も近い天体です。そこまでの距離は日によって多少変化しますが、平均(へいきん)で約38万キロです。また、今ごろは夜中すぎまで木星が群(ぐん)を抜(ぬ)いて明るく見えています。現在(げんざい)の木星までの距離は6億6千万キロぐらいです。月に比(くら)べるとずいぶん遠いですね。

 しかし、夜空で大多数を占(し)めている自分で光る星は、もっと遠くにあります。例えば木星の近くに見えている、おひつじ座(ざ)のハマルという星まで、66光年(こうねん)離れています。1光年とは光が1年間に進む距離で、約9兆5千億キロ。ハマルからの光は66年かかって地球に届(とど)いているということです。

 おうし座の星団(せいだん)「すばる」までの距離なら440光年で、このように星座を作っている星の多くは数十光年から数百光年離れたところにあります。38万キロ先の月までは光の速さで1.3秒、木星でも40分ほどですから、とてつもない遠さです。

 さらに、アンドロメダ銀河(ぎんが)という天体は、250万光年かなたにある星の大集団で、肉眼(にくがん)で見える最も遠いものといわれています。宇宙(うちゅう)の奥行(おくゆ)きを意識(いしき)しながら、星空を眺(なが)めてみてください。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(たけうちみきまさ))

  =隔週掲載(かくしゅうけいさい)=