7月中旬午後9時ごろの山陰での空=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成
7月中旬午後9時ごろの山陰での空=アストロアーツ/ステラナビゲータの星図(せいず)を元に作成

 夏に見える大きな星座(せいざ)を二つ紹介(しょうかい)しましょう。

 7月半ばなら午後9時ごろ南の空を見ると、夏の代表的な星座であるさそり座の上に巨大(きょだい)な将棋(しょうぎ)の駒(こま)のような星の並(なら)びがあります。へびつかい座といいます。

 古代ギリシャでは、医術(いじゅつ)のシンボルとされるヘビを持った医者の姿(すがた)だと考えられました。とがった先にあるやや明るい星はラスアルハゲと呼(よ)ばれ、彼(かれ)の頭にあたります。

 ラスアルハゲのとなりに、それよりも少しだけ暗い星が並んでいます。ラスアルゲティです。この星を頭とし、空の高いところに向かって体があるのがヘルクレス座。ギリシャ神話の英雄(えいゆう)ヘラクレスのことです。

 どんな病気でも治すという神業(かみわざ)を持つ名医と、数々の怪物(かいぶつ)を倒(たお)した最強の勇士(ゆうし)。物語に登場する伝説上の人物が夏の夜空で隣(とな)り合っているのです。星座絵で見ると、二人の大男が頭をつきあわせていて、少しユーモラスにも見えますね。

 二つ並んだ頭の星は、明るく輝(かがや)く1等星ではありませんが、意外と目立ちます。そして、空の広い範囲(はんい)を占(し)めるへびつかい座とヘルクレス座の全体も、山陰(さんいん)地方の暗い夜空なら、十分たどることができます。今月中旬(ちゅうじゅん)は月明かりもありませんので、図を参考にして探(さが)してみましょう。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))

 =隔週掲載(かくしゅうけいさい)=