夜北の空を見ると、北極星(ほっきょくせい)はいつも同じ位置にあります。その近くで北極星を回る星座(せいざ)も地平線の下に沈(しず)むことはなく、一年中夜空に出ています。北に見える星座で分かりやすいものは、カシオペヤ座とおおぐま座でしょう。
カシオペヤ座は、いすに腰(こし)かける女性(じょせい)を描(えが)いた星座で、五つの星が「W」の字の形に並(なら)んでいます。一方のおおぐま座では、その一部である北斗七星(ほくとしちせい)が特に目を引きます。それは、ひしゃくの形をした七つの星の並びです。
これらは北極星を探(さが)す目印にもなります。カシオペヤ座からは、Wの両端(りょうはし)の線を延(の)ばして交わった点と真ん中の星を線で結び、その線を延ばせば北極星が見つかります。北斗七星からは、ひしゃくの水をくむ側の端から二つの星を結んで延ばしたところにあります。
このように役に立つカシオペヤ座と北斗七星ですが、秋は空が暗くなった後、それらの見え方が見事です。北極星の右にあるカシオペヤ座は、腰をかけるいすが立っているように見え、北斗七星は北極星の左下にあって、水をすくおうとするいかにもひしゃくらしい向きに見えます。
この眺(なが)めは、北の空が低いところまで見通せる場所でないと楽しめませんが、山陰(さんいん)地方は北が海に面しているため、そういう場所もたくさんありそうです。
(島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))
=隔週掲載(かくしゅうけいさい)=