車両修理で長期間運休している観光列車・SLやまぐち号(新山口-津和野駅間)をけん引するD51形蒸気機関車(デゴイチ)が、JR山口線で試運転している。車両状態の確認が目的で、客車とディーゼル機関車を連結し走行。約1年4カ月ぶりのSLの運行に、沿線はファンや観光客でにぎわい、沿線住民も早期の運行再開を期待した。
デゴイチは2022年5月、石炭と水を積む炭水車の台車に亀裂が見つかり、京都市の車両工場に入場。修理を終えた今年8月に新山口駅に回送され、同月31日から試運転している。
6日は早朝に津和野駅(島根県津和野町後田)に到着後、地福駅(山口市)との間を2往復し、停車駅では乗務員が走行装置の具合を入念に確認していた。島根県津和野町中座の撮影スポットでは、約40人の鉄道ファンのシャッター音が響き渡り、福岡市から訪れたコンサルタント業の渡辺直人さん(75)は「現役さながらの雰囲気が良い。ベストショットが撮れるまで通う」と話した。
JR西日本広島支社によると、デゴイチは点検で再度京都市の工場に入場するといい、SLやまぐち号の運行再開時期は未定。津和野町観光協会の池田和哉会長(67)は「SLは津和野の生命線のような大切な存在。1日も早く運行再開してほしい」と願った。
(石倉俊直)