蒸気機関車(SL)に代わり、ディーゼル機関車がけん引するJR山口線の観光列車「DLやまぐち号」を撮影しようと、全国各地の鉄道ファンが島根県津和野町を訪れている。国鉄時代に製造されたディーゼル機関車も今では希少な存在となり、人気を集めている。町は撮影者用の敷地を沿線に用意し、混乱のないよう利用を呼びかける。(政経部・石倉俊直)
【動画あり】ディーゼルとSLの共演 D51試運転 お宝ツーショット

津和野駅開業100年を祝う特製ヘッドマークを付けたディーゼル機関車2両が「重連運転」した6日、津和野町中座の撮影スポット、本門前踏切には約120人の愛好者が集まり、シャッターを切った。

ディーゼル機関車は通常運行されるSLの修理に伴い11月20日までの代走だが、ファンの間ではSLよりも運行期間が限られるディーゼル機関車の人気が高いという。汽笛を鳴らす列車を見送った福岡県直方市の坪丸健二さん(70)は「ヘッドマークが変わるため、何度撮っても魅力があせない」と話した。


主力のDD51形ディーゼル機関車は、かつて山陰両県と首都圏を結んだ寝台特急「出雲」などで運用され、6、7の両日に走ったDE10形は木次線の観光列車「奥出雲おろち号」を引っ張る。いずれも国鉄時代に500両以上が製造されたが動力を持たない客車や、貨物列車の減少で、現存はわずかになった。





沿線の道ばたに三脚を立てたり、待機したりする撮影者が増え、住民生活に支障が出たことから、町は本門前踏切に隣接する休耕田170平方メートルを地権者から借りて来年3月まで開放している。町商工観光課の堀重樹課長は、10年前に近くに設けた約50台分の無料駐車場と合わせ「車や通行人の安全を確保するためにも撮影スポットを利用してほしい」と話した。