2020年に解散した「劇団ハタチ族」の主宰者で、現在は雲南市を拠点に一人芝居を演じる俳優・西藤将人(まさひと)さん(39)=米子市出身=が5月に全国ツアーを始めた。演目は、フランスの劇作家ベルナール=マリ・コルテスの戯曲「森の直前の夜」で、90分しゃべりっぱなし。過去には俳優の堤真一さんや柄本明さんが挑戦した作品だ。島根県内でも既に開催した2公演を含め全5公演を予定。今回の演目や地元公演への意気込みを聞いた。
(Sデジ編集部・鹿島波子)
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<今後の公演情報>
9/8(金) 19:00 チェリヴァホール[雲南]
9/9(土) 15:00 チェリヴァホール[雲南]
9/10(日) 16:00 ビッグハート出雲[出雲]
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▽佐藤信さんとの出会い
今回の全国ツアーのきっかけは、1960年代から演劇界に携わり、岸田國士戯曲賞などを受賞した劇作家・演出家の佐藤信(まこと)さん(80)=東京都在住=との出会いだった。
西藤さんと佐藤さんと最初に顔を合わせたのは2017年。佐藤さんが代表を務める横浜の劇場で、西藤さんが一人芝居を披露した。劇団ハタチ族時代から舞台の制作を共にする劇作家・演出家の樋口ミユさん(48)=京都市出身=が、師匠と仰ぐ佐藤さんに会わせたいと、半ば強引にセッティングしたものだった。西藤さんは「びびって行ったら、劇団ハタチ族の『365日公演』(2015年にハタチ族が雲南市で1年間にわたり毎日実施した公演)のことを知ってくださっていた」と驚きを振り返る。

佐藤さんは365日公演について「日本の演劇界にとってものすごいこと。演劇をする者だからこそ、どれだけ大変か分かる。東京の人たちの方が知らないのが頭にきて、エッセーを書こうとしたくらい」と衝撃を受けていた。一人芝居を見てさらに、西藤さんに興味がわき、翌年も横浜の劇場での公演を快諾するなど、交流が続いた。
2022年3月、西藤さんがふらっと佐藤さんの元を訪ねた際、「これやってみたら?」とA4判で50ページほどの脚本を手渡された。それが「森の直前の夜」だった。...