高校生の漫画日本一を決める「まんが甲子園」が8月5、6の両日、高知市で開かれ、米子高校(米子市橋本)が初優勝を飾った。日本のみならず、シンガポールや韓国など海外を含む210校の頂点に立った。今や世界を席巻する「MANGA」。地方から日本一、いや世界一!?をつかみ取った裏には、会場を驚かせた秘策があった。部員たちを直撃した。(Sデジ編集部・林李奈)

 まんが甲子園の正式名称は、全国高等学校漫画選手権大会。1992年に始まり、与えられたお題について、制限時間(5時間半)内に、B2サイズ(約51センチ×約72センチ)1枚の絵で表現し、デザイン力や発想力を競う。今年の大会では予選を勝ち抜いた33校が集い、各校が2つのテーマで漫画を描きあげ、プロの漫画家を含む8人の審査員が計66作品を審査。その中から最も評価された作品を制作した学校が優勝となる。

米子高校の漫画研究部の部室に飾られているポスター

まんが甲子園は団体戦
 通常の漫画コンテストと違うのは個人ではなく、団体戦(3人~5人)であることだ。主催するまんが甲子園事務局によると、団体戦にしたのは「高校生たちの結束力による想像もできない未知のパワーに期待した」ため。学校単位での参加が条件だ。

 米子高校は第11回である2002年大会から毎年まんが甲子園に出場し、5回全国大会出場を決めている強豪校。昨年の大会では、人気漫画「黒子のバスケ」作者の藤巻忠俊氏から審査員賞を受けるなど着実に力を伸ばしている。

2022年米子高校が藤巻忠俊賞を獲得した作品。テーマは「影」=高知県提供


 メンバーは、部長の山邉茉綾さん(17)、今岡保乃さん(17)、岩﨑巴奏(はな)さん(17)、田口紫織さん(15)。1年生の田口さん以外は3年生で、昨年も全国出場したメンバー。昨年の出場経験のあるメンバーが残っていることや審査員賞を得た実績から前から部員同士で「もしかして今年は優勝できるかも」と話していたという。

今年の予選を突破した米子高校の作品。テーマは「異次元の○○」=高知県提供


狙い通りのお題
 甲子園では、事前に知らされていた5つのお題のうち2つが本番で出題される。最初に出されたお題は「どんでん返し」。「どんでん返しのお題は一番自信があった」(山邉さん)と最も期待した展開に、メンバーたちは沸き立った。...