病気や障害がある家族を18歳未満で介護しているヤングケアラーへの関心が高まっている。筆者が「島根県の子どもの生活実態に関する調査」を独自に分析した結果から、ヤングケアラーは県内に推計千人いることが分かった。「介護する10代」の現状が島根県で判明したのは初めてである。その結果を一部紹介する。

 調査は、島根県内に通学している小学5年生、中学2年生、高校2年生とその保護者約2万5千人から回答を得た。うち、家族の介護・看護をしていると答えたのは小学生176人(3・8%)、中学生119人(2・9%)、高校生105人(2・7%)だった。

 ケアの頻度は「毎日」が小学生63人、中学生36人、高校生が25人おり、家族の介護や世話の負担が、手伝いの範囲を明らかに超えて常態化していることがうかがえる。こうした「10代の介護者」は、負担が過度になれば心身や学校生活・進路に影響が出るとされる。

 学校生活への影響では「勉強で分からないことが多い」「衛生面が思わしくない」などが挙げられた。また、「よく眠れないことがある」「孤独を感じることがある」など心身への影響もみられた。

 家族構成は「ふたり親(二世代)」167人、「ふたり親(三世代)」145人、「ひとり親(二世代)」35人、「ひとり親(三世代)」26人で、ふたり親家庭の割合が高かった。

 親の就労状況では、共働きで、平日の日中以外の土・日曜出勤や夜間勤務の割合の高さが目立った。金銭的な余裕がない家庭の割合も高く、親が土・日曜や夜間に働く必要があり、介護を行えないと、その代わりに子どもが同居している祖父母、あるいは障害がある自分の親を介護しなければならない状況が生まれている。

 分析結果で明らかになったのは、島根県内においてもかなりの子どもたちが小・中学生のころから、介護サービスを利用しづらい日曜日や夜間に介護をしていること、家族のために介護することで、自分の学習や心身の健康、生活に影響を受けていることである。

 この「見えないケアラー」が生まれてしまう背景には、以前に比べて世帯構成が小さくなり、家庭内に介護を担うことのできる大人がおらず、必然的に子どもが引き受ける結果になっている実態に対応しきれていない「介護の社会化」の不十分さがあると考えられる。

 ヤングケアラーに必要なのは、彼らの年齢にふさわしくない過剰なケアに対して、サポート・フォロー体制を整えることである。ヤングケアラーたちの将来を閉ざさないためにも、早急に社会的な支援が求められる。加えて、子どもがケアを担わなくても済むような、介護環境の変化に対応した介護者支援や「介護を社会全体で支える仕組み」の充実が重要である。

プロフィル

 みやもと・きょうこ 高松市出身。神戸大大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。博士(経済学)。専門は福祉政策、社会保障政策、ドイツ介護政策など。2013年に島根大法文学部准教授、17年から現職。島根地方労働審議会委員、香川県福祉サービス第三者評価事業「評価調査者」。著書に『介護現場における人材の確保と定着』(学術出版会)など。59歳。