手掛けた自動車模型を手にする渡部洋士さん
手掛けた自動車模型を手にする渡部洋士さん
渡部さんが手掛けたマツダキャロル
渡部さんが手掛けたマツダキャロル
渡部さんが制作したフェラーリ360モデナ・スパイダー
渡部さんが制作したフェラーリ360モデナ・スパイダー
模型の部品作りに取り組む渡部さん。細部にこだわり手作業で仕上げる
模型の部品作りに取り組む渡部さん。細部にこだわり手作業で仕上げる
手掛けた自動車模型を手にする渡部洋士さん 渡部さんが手掛けたマツダキャロル 渡部さんが制作したフェラーリ360モデナ・スパイダー 模型の部品作りに取り組む渡部さん。細部にこだわり手作業で仕上げる

 細部まで作り込まれたタイヤやエンジン、ホイール…。模型なのに今にも動きだしそうなほど精巧な仕上がりが目を引く。自動車模型職人「プロモデル フィニッシャー」の肩書で活動する渡部洋士さん(60)=安来市安来町=の原動力は、車への愛着。部品を手作りして仕上げるこだわりが全国の愛好者から注目され、注文の予約は3年先まで埋まっている。

 ベンツやフェラーリから工事車両まで、依頼があれば何でも作るが「模型キットなど出来合いのものを組み上げて売るだけは好きじゃない」。必要と思った部品は樹脂や金属で新たに作る。ボディーの型を取り、業者に依頼して金属で鋳造し直してもらうこともある。

 作る模型のサイズは43分の1が基本で、完成品の全長は12センチ前後、高さは2~3センチほどと小さい。キーホルダーなどはミリ単位の作業を重ねて再現し、塗料も実物に使うものを使い、リアルな質感を表現する。
 依頼主が注文する模型には、愛車や思い出の車、実物は高価で買えないが、模型だけでも手元に置いておきたい憧れの車など、さまざまな思いが込められている。依頼者と相談して決める価格は1台十数万円、高い物は100万円を超える。

 「それでもほしい、と注文してくださる。お客さまのこだわりを寸分の狂いもなく反映したい、期待に応えたい」。身も心も引き締め、磨き上げた技術を模型に注ぐ。
 自分でマイカーを改造するほど車好きだった父の影響を受け、幼少期に車の世界にのめりこんだ。脱サラし、模型職人の道を選んだのは43歳の時。働きづめで、老後の楽しみだった車いじりも思うようにできず、66歳で他界した父の晩年を見て「自分がやりたいことをやろう」と決心した。

 家族で経営する安来市飯生町のカフェに工房「STUDIO(スタジオ)Rosso(ロッソ)」を併設し、月に1~2台を作る。新型コロナウイルスの流行に伴い現在は控えているが、完成品は顧客の元に自ら出向き、手渡しする。「喜んだり、驚いたりする様子を見るのが一番のやりがい。車好きの皆さんとの縁は宝物」。渡部さん自身と模型からにじみ出るいちずな思いが、車好きの胸を打つ。

 渡部洋士さんブログ(作業工程) https://blog.goo.ne.jp/kphng827

 同(完成作品集) https://kphng827.blog.fc2.com/