1月の大相撲初場所限りで現役引退した元関脇隠岐の海の君ケ浜親方(38)=本名福岡歩、島根県隠岐の島町出身、八角部屋=の引退相撲が30日、両国国技館(東京都墨田区)で開かれた。断髪式で師匠の八角親方(元横綱北勝海)ら約300人がはさみを入れたほか、親方が幼少期から親しんだ「隠岐古典相撲」の形式で最後の取組が行われた。
会場には、チャーター便を使って訪れた隠岐の島町民や横綱の照ノ富士(伊勢ケ浜部屋、鳥取城北高出)ら著名人が駆け付けた。「隠岐古典相撲」形式の取組では、激励の意味を込めて土俵に大量の塩が投げ入れられ、独特の慣習に館内が盛り上がった。
断髪式では父・福岡多喜夫さん(72)から言葉をかけられ、目頭を押さえる場面もあった。八角親方に最後のはさみを大銀杏(おおいちょう)に入れられ「思いのほか一刀両断で軽くなった。これからも相撲でどんどん恩返しをしていく。最初の弟子は隠岐の島からと決めている」と決意を新たにした。
君ケ浜親方は現役時代、恵まれた体格を生かし、殊勲賞を1度、敢闘賞を4度受賞。幕内在位は75場所に上った。
(景山達登)