【津和野】島根県津和野町須川の須川八幡宮でこのほど、須川地区の秋祭りがあり、地元の保存会が田植え囃子(ばやし)を奉納した。60戸約140人が暮らす旧日原町の中山間地に4年ぶりに太鼓や拍子木、手打ちがねの音が響いた。
相撲ケ原下(しも)集落の住民16人でつくる相撲ケ原下田植囃子保存会が1956年から秋祭りでの奉納を続けている。
今年は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことを受け4年ぶりに復活。会員11人が境内で演舞した。
花がさをかぶり、4本の帯をたすき掛けにした衣装の会員が登場。中岡隆幸会長(70)の拍子木で哀調を帯びた節回しに合わせて、太鼓のばちを投げ上げキャッチしたり、向かい合って受け渡ししたりと農耕絵巻を繰り広げた。詰めかけた地区民ら約50人が見入った。
ご神幸も4年ぶりに復活し、総代や会員ら一行約30人が八幡宮から約300メートル離れた神事場(じんじば)(御旅所)に向かい、みこしの前で再び田植え囃子を披露した。
須川八幡宮総代長の藤井貴久男さん(71)=津和野町須川=は「伝統の田植え囃子が久々に響き、ご神幸も復活できてよかった」と話した。
(中山竜一)