応援に応えてハイタッチを交わしながらゴールを目指す選手=米子市皆生温泉3丁目、皆生プレイパーク
応援に応えてハイタッチを交わしながらゴールを目指す選手=米子市皆生温泉3丁目、皆生プレイパーク

 「みんなが主役」-。障害者のスポーツ大会のモットーを、そう聞いてどう思っただろう。支える側と支えられる側を分けて考えはしなかったか。取材を終え、自問した▼選手はもちろん、スタッフも主役。今月9日、日本トライアスロン発祥の地・米子市で開かれたアクアスロン皆生大会は、主役たちの笑顔が輝いていた▼温泉街の一角にあるプールと公園で行われるスイムとランの複合競技で、小学生以上なら、誰でも参加できる。16回目の今年の出場は6歳から78歳まで約80人。他に288人がボランティアとして千円を払って参加し「伴走」した▼会費制のボランティアについて、大会発案者で事務局長の植村ゆかりさん(73)は「資金がないから」と冗談めかすが、毎年そろいのTシャツを作るので、増えれば増えるほど赤字に。それでも続くのは、弁当の無償提供などで支える飲食店や企業を含め、大会趣旨の「地域の一員として楽しく暮らせるまちづくり」の主役たちが思いを共有しているからだろう▼レッドカーペットが敷かれた公園内の直線で、選手たちは声援と拍手を浴び、最後の力を振り絞った。ゴール後に「よく頑張った。よく頑張った」と自分で自分をねぎらう選手がいた。はっとした。自分のことも褒めていい。皆が主役だ。さまざまな「共生」が叫ばれる昨今、道はまだ半ばかもしれないが、共に生きる一つの形が、ここにある。(吉)