記者会見で辞任を表明した細田博之衆院議長=13日午後、衆院議長公邸
記者会見で辞任を表明した細田博之衆院議長=13日午後、衆院議長公邸

 「三権の長」と呼ばれる衆院議長は、東京勤務で国会を拠点にする当方にとって取材が容易ではない政治家だ。警察庁の警護対象のため、普段はSP(警護官)が周囲を固め、公務を行う議長公邸の外観を撮影しようとするだけで警察官が慌ててやって来て、要件や会社名の質問を受ける▼細田博之衆院議長(島根1区)は、週刊誌で女性記者へのセクハラ疑惑が昨年報じられ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係も問題になると、マスコミとの距離はさらに遠くなった。本会議終了後、報道陣の問いかけに無言を貫く場面が日常風景になった▼地元選出の細田氏の真意を知りたいと単独インタビューを数回申し込み、今年1月にやっと実現した。議長辞任の意向が表面化した後の今月1日は休日だったが、都内での取材に口を開いた▼いずれの取材でも次期衆院選に立候補する意欲を示し、地元への思いがにじんだものの、時間的な制約から深く追及することはできなかった▼そんな細田氏がきのう、ようやく記者会見を開いて、議長辞任の理由などを初めて公開の場で説明した。会見前から時間と取材できる報道陣の数を制限した形式に疑問の声が上がった中、説明責任は果たせたか。答えは次期衆院選での有権者の判断に委ねられるが、まだ説明する機会は残る。議長を辞めることで警護が外れるなど、マスコミや有権者との距離は縮まるはずだ。(吏)