事故や火災に駆け付ける警察担当で始まった記者生活。まず悩まされたのが、夜に布団で目をつむると遠くでかすかに聞こえるサイレンだった。
帰宅後、締め切り前の決まった時間に、警察、消防に電話で「平穏」を確認し、きょうも終わり。そうして横になると、耳の奥で鳴っている。事故か、火災か、救急搬送か。
起き上がり、さっき置いた受話器に手を伸ばすが、空耳で終わることがよくあった。兼務していたスポーツ取材で出張し「持ち場」を離れた県外でも、あの音を聞くと反射的にドキッとした。
「早いねー」。昼夜問わず現場で顔を合わせる警察官や消防士に声をかけられると認められた気がした。もちろん勝手な思い込みだが、「共通の敵」と戦っている。ひそかにそんな自負があった。一刻も早く駆け付け生々しさを伝える。目を引く写真であるほど恐ろしさは伝わる。事故の未然防止、火の用心につながる。今もそう思っているが、出足のいい後輩記者に現場取材を任せるうちに、随分鈍くなったと反省も。
先月は大きな火災のニュースが相次いだ。鳥取県南部町の養豚場火災は豚舎6棟を全焼し、遺体も見つかった。大分市佐賀関の大規模火災は住宅地から無人の離島にまで飛び火し、完全鎮火まで16日間も要した。死者150人以上という香港の高層住宅群火災は、人災も指摘される。「他山の石」ならぬ“他山の火事”としたい。(吉)













