5年に1度の国勢調査ごとに国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が公表する人口予想は人口減少の波にさらされる地方を一喜一憂させてきた。新聞も地域の「未来予想」に使っている。その社人研が東京23区の人口予測を見事に外した。
都心の23区も高齢化が進み、2020年をピークに減少すると推計。19年末からの新型コロナの流行で、21年に転出が転入を上回るがすぐに回復し、減るどころか05年予測値より200万人も増えた。予想が難しいのは分かるが、東京一極集中を過小評価して公表するのがこの統計の「癖」のようだ。
19年末といえば、中央区銀座の通りには中国観光客の「爆買いツアー」バスが列を成していた。「武漢観光ツアー御一行」と掲げたバスも見た。人混みをかき分けて歩くしかなかったが、観光客の誰一人マスクなどしていなかった。
年明けには世界的感染拡大となり、東京から一時的に人は逃れた。そして「コロナ禍で働き方が変わる」といわれ、首都圏ではテレワークや在宅勤務が倍増する。しかし、それも一時的な現象で、翌年には人の流入が元に戻った。
災害やパンデミックに過密都市は弱い。それなのに日本では都市機能の分散が進まない。地方分権、国土強靭(きょうじん)化、首都移転の議論はどこへ行ったのか。コロナ下の街の風景をわずか数年で忘れたかのような奇妙な安心感は、危なくてしょうがないと思うのだが。(裕)













