JR西日本が17日、岡山-出雲市駅間を結ぶ特急やくもの新型車両273系を、大阪府東大阪市内で報道関係者に初公開した。宍道湖の夕日、石州瓦の深い赤やたたら製鉄の炎をイメージした新色「やくもブロンズ」の車両で、雲をあしらい、現行車両に比べ揺れを少なくする国内初の仕組みを採用。2024年春にデビューする。
デザインのコンセプトは「山陰、伯備線の風景に響き、自然に映える車体」。外装はやくもブロンズを基調に、窓の周囲はクリーム色で塗装した。「山陰のわが家のようにくつろげる、温(ぬく)もりのある車内」もテーマ。普通席は新幹線と同等の座席間隔(1・04メートル)で、乗り心地にこだわったシートを採用した。
グループ向けの座席も設置。半個室で、フラットにできるシートや大型テーブルを設けた。車いすスペースやバリアフリーのトイレ、公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」を備え、全席に電源コンセントを取り付けた。
車両の揺れ対策として、地図データを使って適切なタイミングで自動的に車体を傾ける「制御付自然振り子方式」を採用。連続するカーブを高速で安定して走行できるようになり、乗り物酔いを抑える効果が期待できる。
JR西日本の関谷賢二車両部長は「山陰や伯備線エリアのシンボルとして多くの人に利用され、長く愛される車両になってほしい」と述べた。
新型車両には約160億円を投じ、44両(4両11編成)を導入する。1982年の運行開始から41年を迎えた現行の381系は24年度以降、順次新型車両に置き換える。
(新藤正春)