2021年6月、東京大4年生だった木田塔子(24)は、都内の病院でベッドの上にいた。

 泥酔していつもより深く手首を切った。リストカットは高校生の時から。切ると意識が痛みに向き、胸がプレス機で押しつぶされるような苦しさから少し逃れられる。向精神薬を過剰に摂取するオーバードーズ(OD)や多量の飲酒とともに、心の痛みを癒やす、生き延びるための手段だ。

 救急搬送され、傷の処置を受けた後、5日後に精神科に入院した。担当医は「拘束ね」と冷たく言い放った。体の自由を...