第四章 大冴え(二十六)  日本橋の表通りの店々には、松や竹が戸口の両脇に対で植えられている。軒先に届かんばかりの緑が並び、町じゅうが一斉に目覚めたかのような鮮やかさだ。  寅蔵は歩きな...