大原千鶴(56)が料理研究家と名乗り仕事を始めたのは、育児と義母の介護に疲れ「自分がどんどん摩耗していく」と感じていた37歳の時だ。

 「家族に埋もれていくのが分かるんです。でも、どんなに忙しくても仕事をして社会とつながっていたい」。だから家族の面倒を見ながら、家でできることを考え大好きな料理の道を選んだ。

▼自分探し

 実家は京都市左京区花脊にある料理旅館「美山荘」。中心部から車で約1時間、日に数本のバスしかない山深い里にあり、父、中東吉次...