全国から八百万(やおよろず)の神々を迎える出雲大社(出雲市大社町杵築東)の神迎(かみむかえ)神事が、旧暦10月10日にあたる22日夜、稲佐の浜で厳かに営まれた。今年も新型コロナウイルス対策で一般参列を控えるよう呼びかけ、神職のみの祭事となった。
かがり火がたかれた砂浜で、千家隆比古権宮司が祝詞を上げ、海から神々を迎えた。神職は神々が宿った「ひもろぎ」と呼ばれるサカキを絹垣(きぬがき)で覆い出雲大社へ移動。密集を避けるため「神迎の道」は歩かず、車を使った。
出雲大社拝殿では千家尊祐(たかまさ)宮司を斎主に神迎祭が営まれ、神々の宿となる東西十九社(とうざいじゅうくしゃ)にひもろぎが奉安された。
神々は29日まで滞在し、稲佐の浜に近い出雲大社の摂社・上宮(かみのみや)(同町杵築北)で、大国主命(おおくにぬしのみこと)を主宰に今後の縁結びや農事を話し合う「神議(かみはかり)」を行うとされる。
旧暦10月は各地で神々が留守になるため「神無月」といわれるが、神々が集まる出雲地方では「神在月」と呼ぶ。(黒沢悠太)