島根県美郷町と友好交流するインドネシア・バリ島の人形影絵芝居「ワヤン・クリッ」の公演がこのほど、同町粕渕のみさと館であった。来場者が古代インド叙事詩の物語を楽しみ、異国の伝統文化に触れた。
ワヤンは「影」、クリッは「皮」を意味する。牛の皮をなめし、透かし彫りや鮮やかな彩色を施した複数の人形を、ダランと呼ばれる人形遣いが1人で操る。2009年に世界無形文化遺産に登録された。
町バリ文化振興アドバイザーの梅田英春・静岡文化芸術大教授がダランを務める劇団「ワヤン・トゥンジュク梅田一座」が公演。インド叙事詩マハーバーラタの二つ物語を披露した。
このうち「ビマの鬼退治」は、勇者ビマが村人を食べる鬼を倒す内容。石見神楽の演目「八岐大蛇(やまたのおろち)」を意識し、鬼が竜になるアレンジを加えた。伝統楽器ガムランの神秘的な音色に合わせ、竜を成敗するビマの動きに来場者が見入った。
家族4人で鑑賞した美郷町立大和小学校3年、難波穂花さん(9)は「影絵が速く動いたり、大きくなったりして面白かった」と話した。公演はバリ島マス村との友好協定締結30周年記念事業の一環で町教育委員会が主催し、町内外の70人が鑑賞した。
(佐伯学)