乳幼児が重い肺炎を起こす恐れのあるRSウイルス感染症が、松江保健所管内(松江市・安来市)を中心に島根県内で流行している。患者の報告数は、この時期として過去10年で最多。昨年、新型コロナウイルスの感染防止策が徹底されたことで、多くの感染症が流行せず、免疫力の弱い子どもが増えたのが原因とみられる。行政や医療機関は感染予防と早めの受診を強く呼び掛けている。(増田枝里子、大迫由佳理)

 島根県内23カ所の定点医療機関から各保健所に報告された患者総数は、6月7~13日の1週間で14人で、うち松江管内が13人、益田管内が1人。前週の5月31日~6月6日は18人で、内訳は松江管内が13人、益田管内4人、浜田管内1。県内総数は両週とも、過去5年平均の約5倍に及ぶ。

 1定点当たりの患者数に換算すると、6月7~13日が0・61人、5月31日~6月6日が0・78人。過去10年間の同時期は0~0・39人の低水準で、今年だけ突出。一方、鳥取県の1定点当たりの報告数は同時期0~0・16人だった。

 感染ルートは、せきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染と、手指やモノを介した接触感染。発熱や鼻汁といった軽い風邪症状が多いが、ウイルスが気管支や肺に広がって死亡する最悪のケースもある。乳幼児や高齢者のいる家庭や施設は集団感染に注意が必要だ。

 特効薬はなく、コロナ対策と同様、マスク着用や手洗いといった予防が大切。特に重症化のリスクがある月齢の低い乳児は、症状のある年長児と家庭内で隔離するなどの対策をとる。日常的に触れるおもちゃ、手すりなどを小まめに消毒することも重要だ。

 多くの子どもは2歳までに感染するとされるが、小児科・ぽよぽよクリニック(松江市東津田町)の田草雄一院長(55)は「昨年は徹底したコロナ対策でほとんどの感染症が流行しなかったため、免疫が鍛えられなかった乳幼児が増え、今年は感染が広がりやすくなっているのではないか」とみる。「生後3カ月未満の乳児は特に重症化しやすい。風邪症状があれば早めに受診して」と呼び掛けている。