地震で倒壊した建物=2日午前11時1分、石川県輪島市
地震で倒壊した建物=2日午前11時1分、石川県輪島市

 私たちの暮らしが、地震災害と隣り合わせにあることを思い知らされる1年のスタートとなった。

 石川県・能登半島で元日の夕方、震度7を記録する地震が発生した。北海道から九州にかけての広い範囲で揺れを観測。一時、能登地方に大津波警報、ほかの全国の日本海側に津波警報や注意報が発表され、すべて解除されたのは翌日だった。石川県を中心に甚大な被害を受け、多数の死傷者が出たほか、家屋などの倒壊が相次いだ。まずは人命最優先で自衛隊、警察、消防などの総力を結集し、取り残された人たちの救助に全力を挙げなければならない。

 加えて被災地支援が喫緊の課題となる。岸田文雄首相は水や食料、燃料などの必要物資を地元の要望を待つことなく「プッシュ型」で送ると強調した。あらゆる手段を講じて実行してほしい。その先には復興や生活再建などの課題が山積している。今回の地震対策を検証し、教訓を得ることも必要だ。「救助と支援」は国、自治体による今後の息の長い対応の第一歩に過ぎない。

 国内で震度7を記録するのは2018年の北海道地震以来で、阪神大震災から数えて7回目になる。大津波警報は11年の東日本大震災以来だ。津波は各地に到達し、石川県の輪島港では1・2メートル以上を観測した。

 的確な救助と支援には、被害を詳細に把握することが欠かせない。

 石川県内ではビルが横倒しになったほか、古い木造家屋の倒壊が多数発生しているという。救助を待つ人がいないか、迅速な確認を徹底しなければならない。輪島市では約200棟を焼く大規模な火災も起きた。

 津波が到達した港では漁船などが転覆したり、陸上に乗り上げたりしている様子が見られる。住民らの高台避難などの状況確認も急いでほしい。

 道路の寸断などによる孤立も起きているようだ。支援や救助を早急に進めなければならない。避難所に身を寄せる人たちには食料、日用品などの物資を届け、健康を守ってもらいたい。中期的には仮設住宅の開設などもにらむ必要があろう。

 能登半島では約3年間、群発地震が続いており、震度1以上の有感地震は500回を超している。

 この中に徐々に規模が大きい地震が含まれるようになり、21年9月に震度5弱、22年6月に震度6弱、23年5月には震度6強をそれぞれ観測した。そして今回の震度7である。

 政府の地震調査委員会は群発地震の一因として、地下水などが上昇した影響で断層が滑るなどして地震につながった可能性を指摘している。中長期的に大きな地震が予想された地域で国や自治体は十分な対策を取ってきたのか、気になるところだ。

 一方、北陸電力志賀原発(停止中)では2号機変圧器付近で爆発音がし、消火設備が作動したという。何があったのか。

 1日夕の震度7の地震後も断続的に強い地震が続いている。被災地はずっと不安に覆われているに違いない。そんな中、気象庁が同日深夜「能登地方で2回目の震度7の地震」発生を発表したが、数分後に取り消す事態があった。実際には震度3だったという。

 被災地の不安、混乱に拍車をかけるミスだ。速やかに原因を特定し、二度と繰り返してはならない。