江の川鉄道が過去に一部のトンネル内で展示した影絵=島根県邑南町内
江の川鉄道が過去に一部のトンネル内で展示した影絵=島根県邑南町内

 旧JR三江線の鉄道資産を生かした沿線活性化に取り組む、島根県邑南町宇都井のNPO法人「江の川鉄道」が町と連携し、沿線のトンネルを観光素材にすべく計画を進めている。トンネル内に約80体の影絵を設置したり、三江線の歴史が分かる動画を壁面に投影したりし、幻想的な空間演出で呼び込みを図る。 

 計画では太陽光で充電できる電源車を導入し、トンネル内で使用。オオサンショウウオやアユなど邑南町の生き物の影絵や、三江線を走った車両、駅の構造などを紹介する動画をプロジェクターで投影する。

 江の川鉄道は、町が鉄道公園として整備した旧三江線の宇都井駅(同町宇都井)や口羽駅(同町下口羽)などの指定管理者。これまで、駅周辺でのトロッコ運行や駅のイルミネーションなどで沿線の魅力を発信してきた。

 トロッコ運行に合わせてトンネル内で影絵の投影をしてきたものの、一部区間で照明や電源を確保できない課題があった。今後、宇都井、口羽両駅の間にある伊賀和志駅(広島県三次市作木町)を含む全長4・8キロのトロッコ運行を構想する中で、路線の多くを占めるトンネルを新たな見どころとして充実させようと計画した。費用は200万円を見込む。

 法人の日高弘之理事長(83)は「トンネルは新たな楽しみを提供できる資源。付加価値の高い鉄道公園にしたい」と話した。(吉野仁士)