存廃を巡って浜田市の対応が二転三転している「サン・ビレッジ浜田」(浜田市上府町)のアイススケート場について、市が廃止する方向で検討に入ったことが17日、関係者への取材で分かった。維持した場合は費用対効果が低く、屋内人工芝施設に改修するのが望ましいとの提案をコンサルタント業者から受けたのが理由。今後、市議会と市スポーツ推進審議会に説明し、異論がなければ2月下旬に廃止を決定するとみられる。 (中村成美)
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スケート場は国所管の独立行政法人が1996年に開設し、2004年に浜田市が取得した。市は利用者低迷を理由に19年に廃止方針を打ち出したものの、21年4月にフィギュアスケート利用者団体からの陳情を受けた久保田章市市長が存続を検討する考えを示すなど、対応が二転三転した経緯がある。
市から委託を受けたコンサル業者がまとめた報告書によると、スケート場を廃止した上で「一年を通じて多様なスポーツ種目・レクリエーションなどに対応するアクティブフィールド」に転換するとの活用イメージを提示。スポーツ大会の会場やサークル活動、イベントなど幅広い利用が望ましいと提言した。
さらに、年々利用者が減っており、特に市民の利用が少ないと指摘。市外からの利用比率が高いものの、宿泊や観光などへの波及効果が薄く、屋内人工芝施設に転用する方が年間利用が多く見込まれ、改修や運営の費用がかかるスケート場に比べて費用対効果が高いとまとめた。コンサル業者が実施した市民アンケートで、成人以上は「スケート場を他機能に転用した方がよい」と思う割合が高かったと報告した。
製氷機の故障で23年度は営業を休止し、市は最低限の応急修繕で800万円、設備全体の更新で1億4千万円かかると試算。光熱費などの年間維持経費は21年度は2600万円だった。市は市議会に対し、年間1万3500人の利用があれば単年度収支で黒字化が可能と説明していたが、21、22年度のそれぞれの利用者はピーク時の4分の1の5千人にとどまった。