車のタイヤ交換でナットを締めている様子(資料)
車のタイヤ交換でナットを締めている様子(資料)

 浜田市三隅町の国道9号で昨年11月、走行中の大型トラックのタイヤが外れた事故で、タイヤ交換後、一定距離を走った後にホイールナットを締め直す「増し締め」を行っていなかったことが23日、国土交通省中国運輸局への取材で分かった。

 事故は昨年11月30日午後3時ごろ、同町向野田の国道9号で発生。左後輪が外れ、前方の歩行者男性に直撃し、男性が軽いけがを負った。

 国交省は大型トラックのタイヤ交換後、50~100キロの走行を目安に増し締めするよう求めているが、事故時の走行距離は交換後208キロだった。

 中国運輸局によると、トラックは前日の29日に冬用に交換。聞き取りに対し、事業所側は運行前の点検に異常はなく、30日の運行後に締め直すつもりだったと説明したという。

 国交省はタイヤ交換上の点検項目をまとめた「脱着管理作業表」でも増し締めを求めている。中国運輸局の門田州生・自動車事故調査分析官は「休憩の際に確認しておけば事故を防げた可能性がある」と述べ、定期的な点検を呼びかけた。

 2022年度に大型車のタイヤが外れる事故は全国で140件(前年度比17件増)あり、うち74件は冬用タイヤ交換後の1カ月以内に発生。昨年12月には青森県内で死亡事故もあった。(宮廻裕樹)