午前のおやつは、藤井聡太王将(21)が「vague ASAHIチーズタルト&カステラ」(旭養鶏舎)とブルーベリーあまざけスムージー、菅井竜也八段(31)が「心縁むすびおはぎ」(大惣)とオレンジジュースだった。
菅井八段のおはぎは前日の午前中と同じ。おはぎ好きなのか、気に入ったのか、それとも験(げん)を担いだのか。いろいろ想像してしまうところだ。

探偵気分で逆説的に考えると、対局の流れを悪くないと思っているのかもしれない。形勢が悪いと思っているのに、前日と同じものを食べるだろうか。
ただ、いかなる状況であっても、ルーティンのようなものを守るという方針もある。その判別は容易だ。菅井八段の昼食が、前日と同じ「大あなご重」で、午後のおやつも「生クリーム大福」(さつだや)なら、まず間違いない。
前日に続く菅井八段のおはぎのオーダーに、大惣(出雲市高松町)の伊東弘隆社長(53)は「前日はおはぎが食べたかったんだなと思ったが、今日も頼んでもらって、あっさり味が気に入っていただいたんだな」と喜んだ。松江、出雲両市内のスーパーで販売するほか、東京や大阪にも卸しているという。3種類の砂糖をブレンドし、すっきりと甘い仕上がり。伊東社長はコーヒーとの取り合わせ
を勧めている。
藤井王将が選んだチーズタルト&カステラを製造する旭養鶏舎(大田市波根町)の竹下靖洋社長(47)も「初めて出したが、食べてもらってうれしい」と話し、藤井王将の戦うエネルギーにつながるのではないかと期待した。普段、タルトのみを大田市内の直売所で販売。エゴマを食べさせた鶏の卵によるおいしさをPRしている。

局面は54手まで進行。大駒の仕事ぶりが注目される。藤井王将の馬が動き、四段目に浮いた菅井八段の飛車は、横にあって邪魔していた歩が攻撃のために前進し、横の利きが生まれてきた。
(板垣敏郎、黒崎真依)