国の重要文化財「旧大社駅本屋(ほんや)」(出雲市大社町北荒木)は、2月に建設から100年となる。出雲大社の玄関口や神門通り建設の起点となり、大社の町づくりに大きな影響を与えた。公益財団法人・文化財建造物保存技術協会の設計監理事務所の八木誠一所長に、現在進んでいる駅舎の保存修理の手法や必要性を解説してもらった。

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 文化財修理と聞いてどのようなことを想像されるでしょうか。姫路城や出雲大社の修理の際には広く広報されたこともあり、さまざまなイメージがあると思います。現在の文化財修理は、1950(昭和25)年に制定された文化財保護法を基に進められています。

 「文化財」という言葉は、この法律により提起されました。明治以降、建造物については、古社寺保存法(明治30年制定)や国宝保存法(昭和4年制定)により行政による保存が図られ、基本的な考え方は現在の文化財保護法にも引き継がれています。

 では、それ以前の修理はどうだったのでしょう。日本の建造物は...