繊細で柔らかな色彩、流れるような美しい線描、余白を生かした構図など、これらは日本画の特徴としてよく挙げられる。また、控えめでつつましい表現なども日本画を鑑賞していると感じることだろう。日本画の特徴といえる表現や色彩は、私たちの心の琴線に触れ、優しい気分にさせてくれるものである。

描かれるテーマは、文学や仏教などを題材とした少し難解なものがある一方、動物の愛らしい姿であったり、楽しそうな笑顔を見せる人物であったり、また柔らかな風までも感じる静かな風景であったりとさまざまである。鑑賞していると思わず、笑みがこぼれるような作品に出合うことがあり、こうした作品を見ると心がほっこりと温かくなる。

竹内栖鳳(たけうちせいほう)の「爐邊(ろべ)」は、...