大きな餅に雪玉をぶつける神事「七日塔(なのかとう)」が11日、松江市八雲町西岩坂秋吉地区の田村神社であった。背負った餅をめがけて雪玉を投げつけ、当たると厄払いになるとされるユニークな神事で、豊作と氏子の幸せを祈った。
「秋吉の大餅さん(おおもっつぁん)」と呼ばれ、親しまれる祭りで、神前に供えた直径約50センチ、重さ1・5キロの餅を若者が背負って境内を移動。待ち構えた氏子や住民らが雪玉を次々と放ち、静かな山あいに歓声が響き渡った。
餅を背負う大役を担った地元に住む松江西高校3年の秋原楓真(ふうま)さん(18)は「緊張したけど、皆さんの笑顔が見られてうれしかった」と振り返った。
神事では平林茂宮司(65)が的をやりで突いて鳥獣害に悩まされないよう祈願したほか、「的に当たらなければ豊作」とされる弓打ちでは、矢が全て外れると境内は拍手に包まれた。氏子会会長の石倉一夫さん(76)は「地元にとってなくてはならない神事。地域の方々と協力しながら後世に伝えていきたい」と話した。(石倉俊直)