この10年余り、国連安全保障理事会で急増するロシアと中国の拒否権行使。冷戦の覇者、米国が「世界の警察官」の座を降り、内向き志向を強めた時期と重なり合う。特権を多用し、西側の行く手を阻む「暴れ熊と巨竜」。前回に続き、国際法の専門家で、欧州リヒテンシュタインのクリスチャン・ウェナウェザー国連大使に聞く。

 ―国連安全保障理事会常任理事国のロシアと中国が自己主張を強め、拒否権を多用している。

 「1989年にベルリン...