能登半島地震では家屋の倒壊や津波のため、避難の際に薬を持ち出せなかった人が少なくない。血糖値をコントロールするインスリン製剤を使う糖尿病患者は注射が途切れると命に関わる。非常時用の準備に加え、あらかじめ薬の名前をメモしておくなど、対策を考えておくことが必要だ。
避難時は食事が取れなかったり、パンなどの高カロリーな炭水化物の食事に偏ったりして、血糖コントロールが悪化しやすい。安定したインスリン投与が必要だが、病院や薬局も被災すれば早急にインスリン製剤や注射器を入手するのは難しい。
糖尿病専門医で、島根大医学部付属病院内分泌代謝内科の守田美和講師は、災害派遣医療チーム(DMAT)の隊員として2016年の熊本地震の現場に出向いた経験を持つ。平時の診察でも薬の名前が曖昧な患者がいるといい「情報がないと、何を投与すればいいか分からない。薬を自分で把握しておくことが大切だ」と説く。
糖尿病患者が災害発生時に持ち出す物として、...