静岡県から隠岐島前高校に「島留学」した3年の村松新太さん(18)が、3月1日の卒業式に出席するため、同県掛川市の実家から高校まで約600キロの道のりを徒歩で向かっている。
漁業や農業など幅広い経験を積みたいと思い、隠岐島前高校に入学した。地域課題に取り組む「夢探究」の授業では、チームで島前3町村の中学生がつながる場をつくる活動や、個人で旅をする価値についてまとめた。
実家までヒッチハイクで帰省した経験があり「卒業式に歩いて実家から登校したら面白いのでは」と思いついた。2月4~27日の23日間の日程で、隠岐行きフェリー乗り場がある境港市まで約600キロを歩く行程を組み立てた。
1日約30キロ歩き、60キロ歩く日も。「歩いて卒業式へ」のビラをリュックに下げ、特徴的な黄色のダウンを着て歩を進める。予算は総額2万円、1日の生活費は約千円だ。
つらかったのは開始3日目の愛知県岡崎市周辺。足を痛みが襲ったが「自分の限界に挑戦したい」と前を向いた。周囲の声かけやインスタグラムで応援メッセージが増えたのも背中を後押しした。特に山陰両県では声援や差し入れが多かったという。
27日に大根島を経由して境港市内のフェリー乗り場に向かった。これまでの旅程を「楽しかった」と振り返り、卒業後は映像製作を学ぶという。(黒崎真依)