コバルトブルーの新作を含む、九谷焼の伝統技法で描かれた吉祥文様の作品=米子市角盤町1丁目、JU米子高島屋
コバルトブルーの新作を含む、九谷焼の伝統技法で描かれた吉祥文様の作品=米子市角盤町1丁目、JU米子高島屋

 「美麗吉祥の世界」と題した九谷焼の作家、米久(こめきゅう)和彦さんの作陶展が29日、米子市角盤町1丁目のJU米子高島屋4階美術サロンで始まった。極細の筆で花瓶、香炉などの器一面に描かれた吉祥文様が目を引く。3月4日まで。入場無料。

 米久さんは九谷焼の伝統技法「赤絵細描」を受け継ぐ約20人の作家の一人。石川県能美市で構える窯は能登半島地震で大きな被害は免れた。同サロンの展示会は2021年以来、3年ぶりで、約60点を並べる。

 「福や宝物を搦(から)め取る」と言われ、健康長寿や無病息災の願いも込もる縁起のいい赤の網目文様の花瓶、香炉、宝珠のほか、「北陸の空」をイメージし自ら開発したコバルトブルーで描いた新作の香炉や香水瓶が目玉。備え付けの虫眼鏡で細かな絵柄が楽しめる。

 鳥取県伯耆町真野の自営業石原順二さん(72)は「細密さにびっくりした。手仕事の極み」と作品に見入った。3月2、3の両日は米久さんの絵付けの実演がある。
(吉川真人)