益田市の総菜製造業と飲食店を営む業者が作った恵方巻きと宴会料理による集団食中毒で、患者総数が303人増えて479人だったことが29日、分かった。島根県薬事衛生課は原因や対象者が把握できていたとして、発生直後の176人までしか発表していなかった。
同課は不特定多数の感染が疑われる場合は、感染者数を公表している。
今回の事案は2月6日に第1報、7日に第2報を発表した。その後は(1)原因がノロウイルスと特定できた(2)予約制の販売だったため、恵方巻きの購入者と宴会料理を食べた人を全員把握できた-として、これ以上の周知は必要ないと判断。患者数は発表せず、ホームページ上でのみ更新した。
西浩幸課長は「利用者全員に聞き取り、個々の容体の確認もできていたので患者数を公表しなかった。ただ、規模が大きかっただけに、発表の仕方を考えないといけなかった」と述べ、情報提供の在り方を検討する考えを示した。
患者の内訳は恵方巻き396人、宴会料理83人だった。症状が悪化した報告は受けていないという。
島根県内の集団食中毒は統計が残る1962年以降、90年の805人が最多で、今回の集団感染は4番目に多かった。(原暁)