42年前、くにびき国体陸上少年女子A1500メートルを制し、地元国体のヒロインとなった別所(旧姓・大国)美喜子(58)は苦楽を共にした恩師の姿に、陸上人としてあるべき姿を重ねてきた。「理想の指導法を探る挑戦は、今も続いている」。出雲北陵中学高校陸上部監督を務める現在も、追い続けてきた大きな背中には、まだ届いていないと実感する。

 別所が、島根陸上界の名伯楽として知られた三原博昭(故人)に指導を受けるようになったのは出雲農林高入学後。翌年に控えていたくにびき国体に向け、二人三脚が始まった。

 くにびき国体直前にあった全国高校総体800メートルで8位と不本意な成績に終わったが、三原の助言でゴルフ場を走ると不思議と本来のフォームを取り戻した。走り方を細かく指導される厳しい練習とは無縁のまま、くにびき国体、群馬国体(1983年)で連覇を達成した。

 三原との関係は、高校卒業後も続いた。27歳で教員になってから6年後。学校業務で忙しい時のサポートを頼み、三原が外部コーチ、自らが監督という立場で選手育成を手がけた。

 その際に感じ取った三原の能力は...