山陰中央新報社の米子境港政経クラブ、島根政経懇話会の定例会が12、13日に米子市、松江市であった。第一生命経済研究所主席研究員の柏村(かしわむら)祐氏(52)が「チャットGPTがもたらす生産性革命」と題して講演し、「デジタル活用は経営に直結する」と強調した。
要旨は次の通り。
日本の労働生産性は経済協力開発機構(OECD)の加盟38カ国中31位。主要先進7カ国では最も低い。「稼がない仕事」を一生懸命やっているからこうなる。「情報を集める」「整理する」「ドラフト(原案)を作成する」「実行する」という仕事の四つのプロセスのうち、人間にしかできない「実行」以外の三つにも異常に時間をかけている。定型的な他の三つは人工知能(AI)にやってもらいましょう。
チャットGPTは本当に使った方がいい。無料のヤフーやグーグルがあると言われるが、あれは「広告モデル」であり、ビジネスモデルが違う。20ドル払ったらきちんと情報を生成してあげるよというモデルだ。
新聞社の方から講演を「録音していいですか」と言われた。文字起こしをするそうだ。耳で聞くのだろうか。録音したデータはAIに任せて要約させればいい。その分、取材に行ったらいい。自分の会社なら何に使えるか。そういう「自分ごと」に置き換えてほしい。今までと同じやり方では生産性が低いままだ。
生成AIはテキストデータの要約や翻訳、ソーシャルメディアデータのトレンド分析や感情分析、ウェブデータでコンテンツ抽出をするといったことが簡単にできる。なんでもかんでもやって忙しい忙しいというのは、何も考えていないのと一緒だ。ビジネスにおいては変化できる者が生き残る。変化への対応力が今一番求められている。
(吉川真人)
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