鳥取県は30日、県東部の滞在施設で新型コロナウイルスのデルタ株疑いのクラスター(感染者集団)が発生したと認定した。同日に発表した感染者11人のうち7人が施設を利用していた。デルタ株疑いの陽性者確認は山陰両県で初めて。鳥取県内のクラスターは12例目。 (藤井俊行)
県や鳥取市によると、7人は20~70代のいずれも男性で県外との往来があった。居住地、職業は非公表。うち2人が頭痛や発熱などの症状があり、29日に同市内の医療機関を受診し陽性が判明。施設を利用した他の8人中7人も同日の検査で5人が陽性、2人が陰性だった。施設を利用した計10人の接触時期は調査中。
施設は県外団体が管理し利用者の感染確認後、利用を停止した。不特定多数が使うことはなく、接触者が限られるため、市は感染拡大の懸念は今のところないとしている。
デルタ株は従来株より、感染力が高いとされる変異株で、インドで最初に確認された。鳥取県は、遺伝子配列を調べるゲノム解析を行い、確定させる。
30日に発表した感染者はこのほか鳥取市保健所管内の3人と倉吉保健所管内の1人。4人とも既に判明している感染者の濃厚接触者か接触者として検査を受け29日に陽性が判明した。
県内では、29日にも約1カ月ぶりに新規感染者が発表されており、平井伸治知事は「緊急事態宣言が解除され、人の往来によるもの。第5波に入ったとの認識で、徹底した感染防止対策のため動かないといけない」と危機感を示した。
また県は、29日に発表した感染者4人のうち、県西部在住の50代会社員女性について、発生届の取り下げがあったと発表した。医療機関での抗原検査では陽性だったが、その後、複数回PCR検査で陰性だった。
県内の累計感染者数は480人となった。